制度開始から1年【特定技能の現状】

2020年「特定技能」による受入れは低調。。。

深刻化する人手不足に対応するため、昨年2019年4月に新たな在留資格「特定技能」が創設され、1年が経過しました。しかし、5年間で最大34万5千人程度の受入れ見込み、初年度(2019年度)の受入想定最大値47,550人に対し、2020年6月末時点で5,950人と予定を大幅に下回っています。

 参照サイト 法務省:特定技能在留外国人数の公表

 

特定技能が進まない背景としては、認知度の低さや手続き書類の煩雑なこと、「特定技能」の資格取得のための試験実施の遅れがあるなど、様々な要因が考えられます。更に今年は「新型コロナウィルス感染拡大」の影響で4月以降に来日を予定されていた方が来られなくなったことも大きな原因でしょう。

また、今回の新型コロナウイルスの影響による業績不振により「宿泊業」「外食業」「ビルクリーニング業」などで人材の需要が減り、試験で特定技能の資格を得た留学生なども就職できず、母国にも帰れない状況が生じています。業績不振から技能実習生の雇用継続が難しくなった受入れ企業などで技能実習からの移行が見込めなくなったことも影響があるのではないでしょうか。人手不足に悩む農家などでは受け入れ予定だった技能実習生が入国できず本当に人手が足りず困っているところもあるのですが、技能実習制度では職種をまたいだ転職は認められていない(※)のが現状です。

 ※2020年4月に特例措置として、実習中に解雇された場合のみ異業種への転職が可能となっています。修了生については実習と同じ業種への転職に限られていましたが、今月、技能実習を修了した外国人が異なる業種に転職できる特例を設けるとの発表がされています。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で帰国できない外国人を対象とし、9月上旬から希望者の受け付けを始めるようです。

 

スタート1年目は大幅に予定を下回った特定技能ですが、今回の「新型コロナウィルス」により、社会・産業構造が大きく変わり、それにより要求される労働者の内容も外国人材への要求・期待も変わってくるでしょう。この大きな社会・産業構造の変化を踏まえ、制度の見直しが必要なのではないかと思います。